|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
現在日本の市街地では1962年5月10日施行の「住居表示に関する法律」に基づく「新住居表示法」により「町丁目名」「街区符号」「住居番号」により表示する所が多く、「XX ○丁目○番○号」といった表示なっており、また新住居表示未実施のところでは地番が用いられ、「XX 町○丁目○番地」と表示されています。 では、ロシアの市街地ではどのような住居表示(住所)がなされているのか、簡単にご紹介します。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
市 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
まずロシアの市街地の住所は大きな行政区画から、連邦構成体(共和国、地方、州、自治州、自治管区)、市、町名、建物番号、部屋番号の順に書きます。但し、大都市にある「区」は書きません。 そのうち、「連邦構成体」と「市」については、例えばサハリン州チェーホフ市の場合、 “Сахалинская обл. , г. Чехов” 「サハリン州チェーホフ市」のように順に書いても良いし、 “г. Чехов Сахалинской обл.” 「サハリン州のチェーホフ市」というように「連邦構成体」を「市」のあとに持ってきて、「〜の」を表す生格形で書くことも出来ます。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
町名(通り名など) |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
次に「町名」ですが、日本にも「町」「通」「台」「丘」などの種類があるように、ロシアにも様々な種類があります。 ロシアではほとんどの街路に「通り名」が付けられており、これが日本の「町名」に相当します。また街路の場合、その性格や道路幅などによって呼び方が違います。 「街路」以外を含め、ロシアで用いられている主な「町名」には次のようなものがあります。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
などが住所として用いられています。 この中で、一番一般的で多いのは、「通り(ウーリッツァ)」です。 これら通り名では、形容詞形語尾を持ったものが多いのですが、その場合には通りの種類によって語尾が男性形、女性形、中性形に変化します。 例えば、モスクワ=Московский [マスコーフスキー]といった通り名があるとすると、 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
となります。 人名を取った通り名も多く、その場合は人名をそのまま「〜の」を表す生格形に格変化させ、「通り」の後ろに持ってきます。 例えば(ともにニジニ・ノヴゴロドに実在する地名です) |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
建物番号 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
「町名(通り名)」の次にくるのが、建物番号(дом 省略形:д. )ですが、ロシアでは、この番号の付け方は「通り」の場合、道路の片側が奇数、反対側が偶数です。道路のどちら側を奇数(つまり1番をどちらに)にするかは所によって違いも見られ、モスクワでは道路の左手側(番号順に向かって進むと仮定して)、ニジニ・ノヴゴロドでは道路の右手側が多くなっているようです。 この場合、道路の起点では「1番」の向かい側に「2番」があるのが多いのですが、順に3・5・7・・・、片や4・6・8・・・、と続くに従って、一方では大きな建物や広場あったり、片側は逆に小さな建物が続いていたりすると、後に行くほど番号がくい違い、従って「35番」の向かいに「36番」があるとは限りません、というより、そのように揃う方が希です。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
但し、同じ「通り」でも、「河岸通り(ナーベレジナヤ)」のように、道の片側にしか建物が建っていない場合や、通りではない「広場(プローシャチ)」や「城塞(クレムリン)」の場合には、偶数奇数の振り分けはせず、通し番号が打たれています。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
また、交差点に面する建物、つまり2つの通りに面する建物には、双方の通りの建物番号が付けられています。 例えば「ミーニン通り40番」(ул. Минина 40 )と、「フルンゼ通り2番」(ул. Фрунзе 2 )が両通りの交差点に建つ同一の建物であった場合の住所表示は、“ул. Минина 40/2” または、“ул. Фрунзе 2/40” のように書かれています。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
なお、ロシアには米国のように4000番を越えるような「通り」はまず無く、ニジニ・ノヴゴロド市内で最も大きい番号を持つ通りでも300番台ぐらいで、モスクワではもっと短く、200番台のある通りはかなり珍しいでしょう。 要するに、たとえ1本の道路でも、大きな交差点ごとに通り名を変えているようです。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
コルプス |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
既設の建物番号、例えば「3番」と「5番」の間の空き地に新たに建物が建った場合や、通りに直接面していない「裏手」の建物には、「3а」「3б」のように、番号の後にロシア文字のアルファーベットを付記し区別し、これを「コルプス」
корпус と言います。 また、モスクワのような大都市の団地群には、通りに直接面していない住棟も多く、その場合の建物番号にはコルプスの枝番号で識別しています。 多くの場合は、通りに直接面している住棟を「К1」(コルプス1)とし、奥に順に「К2」「К3」・・・と続きます。 地図では、建物番号「7」の「コルプス1」であれば、「7К1」と表記されています。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
東西の通り(上ヴォルガ河岸通り、ミーニン通り、大ペチョールスカヤ通り、ウリャノフ通り、ヴァルヴァルスカヤ通り)では西から順に、南北の通り(プロヴィアンツカヤ通り、セマシコ通り、ネスチェロフ通り、ピスクノフ通り)では北から順に建物番号が打たれているのが分る。また、道路の片側には偶数、反対側には奇数の番号が付けられている。但し、片側(南側)にしか建物が建っていない上ヴォルガ河岸通りでは通し番号となっており、ミーニンとポジャルスキー広場やクレムリンも同様である。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
住居番号 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
建物番号の次には住居番号(квартира 省略形:кв. )を書きます。 例えば、77番の建物の103号室であれば、「д.77, кв.103」 または「77-103」と書けば良いのですが、面白いのは、この住所の住居番号「103」を見て、日本人ならこの住居が1階にあるものと誰もが思うでしょうが、実はそうではありません。 ロシアの集合住宅では、日本の市営住宅に多く見られる「廊下型」ではなく、「階段型」で、建物の何箇所か階段室(含むエレベータ)があります。その階段室に沿って住居が配置されており、1階から通し番号で1・2・3・4・5、2階は6・7・8・9・10、3階11・12・・・、という風に部屋番号が続くため、階段室の入り口には分りやすく部屋番号が書いています。「1―40」と書いていれば、この階段を昇って1号室から40号室に入れることを意味します。別の階段室に行けば「41―80」と書いてあるでしょう。 この住所の場合は「81―120」などと書いている階段室を見つけ、階段を昇って103号室を見つける、といった手順です。 (防犯のために階段室の入り口そのものに鍵がかかっている場合が多いですが) |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
住所の書き方と氏名 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ロシアにおける住所の書き方は、英語とは逆に、日本と同じ順に書きます。 6桁の郵便番号 индекс、都市 город г. 、通り улица、建物番号 дом、住居番号 квартира の順です。 但し、大都市の区名は書きません。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
氏名は姓・名・父称の順に書きます。 郵便物の受取人の場合には、日本語では受取人氏名の後に「様」をつけますが、ロシア語では姓・名・父称のすべてを「〜に」を表す与格形に格変化させます。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
と書きます。 こういう住所を見て、地図で「通り」の位置を確認し、バスなどでその通りに行き着いたら、まずそこに建っている建物の番号を見ます。そして「194」番の建物が現れるまで歩き続けれは、その住所に間違いなく行き着きます。 |
このページのトップへ▲ |