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通常,経度が15度東へ進むごとに時間は1時間早くなります。西端のカリーニングラード州バルト砂洲(東経19度38分)から,東端のチュコト自治管区ラトマノフ島(西経169度02分)に至る広大なロシア連邦には,11の時間帯(タイム・ゾーン)があります。西の飛び地カリーニングラードと東のカムチャツカでは10時間の時差があり,カリーニングラードで職場へ急ぐ朝8時には,カムチャツカでは夕方6時を迎えています。
ロシアで最も基準となる時間帯は,「モスクワ時間」で、カリーニングラードより1時間早く、カムチャツカより9時間遅くなっています。全土を一元的に捉える必要のある鉄道の時刻表などは,現地時間に係わらず,モスクワ時間で書かれています。
日本とのモスクワとの時差は6時間です。(2014年10月26日より)
以前はロシアではサマータイム制度が採用されており,時期によって違っていました。日本との時差は,
冬時間(10月最終日曜日より,3月最終日曜日まで)では,モスクワとの時差は6時間,
夏時間(3月最終日曜日より,10月最終日曜日まで)では,モスクワとの時差は5時間でした。
2011年2月8日,当時のロシアのメドベージェフ大統領は,3月27日午前2時を午前3時に変える夏時間への移行を最後に,時間移行制を廃止すると表明しました。季節によって時間が変わることは生体リズムに反し,体のストレスになったり,病気になるというのが理由です。
サマータイム制度の廃止といっても,実際には冬時間の廃止であり,一年中夏時間を採用する形でした。しかし,夏時間では1時間日の出が遅くなり,特に冬は朝の暗い時間が長く,国民からこの改革は不評でした。
2014年7月22日,プーチン大統領は,10月26日から通年で元の冬時間を適用することとし,現在に至っています。
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ロシアの時間帯の特徴は,高緯度に位置する地域柄から相対的に冬時間でも同経度の各国の時間帯に比べて1時間早くなっています。
例えば,同経度に位置し日本海を隔てた日本時間とウラジオストク時間では1時間の時差があり,また宗谷海峡を越えて北海道からマガダン時間を採用する樺太へ渡ると2時間時計を進めることになります。
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ロシア連邦における時間帯(タイムゾーン)の種類 2014年10月26日以降,夏時間は廃止されています
| 時間帯 |
モスクワとの時差 |
日本との時差 |
| 冬時間 |
旧夏時間 |
| カリーニングラード時間 Калининградское время (USZ1) |
-1 |
-7 |
-6 |
| モスクワ時間 Московское время (MSK) |
0 |
-6 |
-5 |
| サマーラ時間 Самарское время (SAMT) |
+1 |
-5 |
-4 |
| エカテリンブルク時間 Екатеринбургское время (YEKT) |
+2 |
-4 |
-3 |
| オムスク時間 Омское время (OMST) |
+3 |
-3 |
-2 |
| クラスノヤルスク時間 Красноярское время (KRAT) |
+4 |
-2 |
-1 |
| イルクーツク時間 Иркутское время (IRKT) |
+5 |
-1 |
0 |
| ヤクーツク時間 Якутское время (YAKT) |
+6 |
0 |
+1 |
| ウラジオストク時間 Владивостокское время (VLAT) |
+7 |
+1 |
+2 |
| マガダン時間 Магаданское время (MAGT) |
+8 |
+2 |
+3 |
| カムチャツカ時間 Камчатское время (PETT) |
+9 |
+3 |
+4 |
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タイムゾーン図(2018年10月28日より) |
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2014年10月26日以降,夏時間は廃止されています
| 行 政 区 画 |
モスクワとの時差 |
日本との時差 |
| 冬時間 |
旧夏時間(廃止) |
| 中 央 連 邦 管 区 |
| モスクワ市 |
0 |
-6 |
-5 |
| モスクワ州 |
0 |
-6 |
-5 |
| カルーガ州 |
0 |
-6 |
-5 |
| ブリャンスク州 |
0 |
-6 |
-5 |
| スモレンスク州 |
0 |
-6 |
-5 |
| トヴェーリ州 |
0 |
-6 |
-5 |
| ヤロスラヴリ州 |
0 |
-6 |
-5 |
| コストロマ州 |
0 |
-6 |
-5 |
| イヴァノヴォ州 |
0 |
-6 |
-5 |
| ヴラジーミル州 |
0 |
-6 |
-5 |
| リャザン州 |
0 |
-6 |
-5 |
| トゥーラ州 |
0 |
-6 |
-5 |
| オリョール州 |
0 |
-6 |
-5 |
| ベルゴロド州 |
0 |
-6 |
-5 |
| ヴォロネジ州 |
0 |
-6 |
-5 |
| クルスク州 |
0 |
-6 |
-5 |
| リペツク州 |
0 |
-6 |
-5 |
| タンボフ州 |
0 |
-6 |
-5 |
| 北 西 連 邦 管 区 |
| サンクト=ペテルブルク市 |
0 |
-6 |
-5 |
| レニングラード州 |
0 |
-6 |
-5 |
| ノヴゴロド州 |
0 |
-6 |
-5 |
| プスコフ州 |
0 |
-6 |
-5 |
| カリーニングラード州 |
-1 |
-7 |
-6 |
| ヴォログダ州 |
0 |
-6 |
-5 |
| カレリア共和国 |
0 |
-6 |
-5 |
| ムルマンスク州 |
0 |
-6 |
-5 |
| アルハンゲリスク州 |
0 |
-6 |
-5 |
| ネネツ自治管区 |
0 |
-6 |
-5 |
| コミ共和国 |
0 |
-6 |
-5 |
| 南 連 邦 管 区 |
| ロストフ州 |
0 |
-6 |
-5 |
| クラスノダール地方 |
0 |
-6 |
-5 |
| アドゥイゲ共和国 |
0 |
-6 |
-5 |
| カルムイキア共和国 |
0 |
-6 |
-5 |
| アストラハン州 |
+1 |
-5 |
-4 |
| ヴォルゴグラード州 |
+1 |
-5 |
-4 |
| 北 カ フ カ ス 連 邦 管 区 |
| スタヴロポリ地方 |
0 |
-6 |
-5 |
| カラチャイ=チェルケス共和国 |
0 |
-6 |
-5 |
| カバルダ=バルカル共和国 |
0 |
-6 |
-5 |
| 北オセチア=アラニア共和国 |
0 |
-6 |
-5 |
| イングーシ共和国 |
0 |
-6 |
-5 |
| チェチェン共和国 |
0 |
-6 |
-5 |
| ダゲスタン共和国 |
0 |
-6 |
-5 |
| 沿 ヴ ォ ル ガ 連 邦 管 区 |
| サラトフ州 |
+1 |
-5 |
-4 |
| サマーラ州 |
+1 |
-5 |
-4 |
| ウリャノフスク州 |
+1 |
-5 |
-4 |
| ペンザ州 |
0 |
-6 |
-5 |
| タタルスタン共和国 |
0 |
-6 |
-5 |
| マリ・エル共和国 |
0 |
-6 |
-5 |
| チュヴァシ共和国 |
0 |
-6 |
-5 |
| モルドヴィア共和国 |
0 |
-6 |
-5 |
| キーロフ州 |
0 |
-6 |
-5 |
| ニジニ・ノヴゴロド州 |
0 |
-6 |
-5 |
| ウドムルト共和国 |
+1 |
-5 |
-4 |
| ペルミ地方 |
+2 |
-4 |
-3 |
| バシコルトスタン共和国 |
+2 |
-4 |
-3 |
| オレンブルク州 |
+2 |
-4 |
-3 |
| ウ ラ ル 連 邦 管 区 |
| チェリャビンスク州 |
+2 |
-4 |
-3 |
| クルガン州 |
+2 |
-4 |
-3 |
| スヴェルドロフスク州 |
+2 |
-4 |
-3 |
| チュメニ州 |
+2 |
-4 |
-3 |
| ハンティ=マンシ自治管区 |
+2 |
-4 |
-3 |
| ヤマロ=ネネツ自治管区 |
+2 |
-4 |
-3 |
| シ ベ リ ア 連 邦 管 区 |
| オムスク州 |
+3 |
-3 |
-2 |
| ノヴォシビルスク州 |
+4 |
-2 |
-1 |
| アルタイ地方 |
+4 |
-2 |
-1 |
| アルタイ共和国 |
+4 |
-2 |
-1 |
| ケメロヴォ州 |
+4 |
-2 |
-1 |
| トムスク州 |
+4 |
-2 |
-1 |
| ハカシア共和国 |
+4 |
-2 |
-1 |
| トゥヴァー共和国 |
+4 |
-2 |
-1 |
| クラスノヤルスク地方 |
+4 |
-2 |
-1 |
| イルクーツク州 |
+5 |
-1 |
0 |
| 極 東 連 邦 管 区 |
| ブリャート共和国 |
+5 |
-1 |
0 |
| ザバイカリエ地方 |
+6 |
0 |
+1 |
| サハ共和国(ヤクーツク市、ネリュングリ市、アナバル、ブルンスキー、オレニョク、ジガンスク、ミールヌイ、ニュルバ、スンタル、ヴェルフネヴィリュイスク、ヴィリュイスク、コビャイ、ゴールヌイ、ナムツイ、アルダン川口、ハンガラススキー、タット、メギノ=カンガラススキー、チュラプチャ、アムガ、レンスク、オリョクミンスク、アルダン、エヴェン=ブイタンタイ民族、トムポ、ウスチ=マヤ各地区) |
+6 |
0 |
+1 |
| サハ共和国(ヤナ川口、ヴェルホヤンスク、オイミャコン各地区) |
+7 |
+1 |
+2 |
| サハ共和国(アルライハ、下コリマ、モーマ、アブイ、中コリマ、上コリマ各地区) |
+8 |
+2 |
+3 |
| アムール州 |
+6 |
0 |
+1 |
| ユダヤ自治州 |
+7 |
+1 |
+2 |
| ハバロフスク地方 |
+7 |
+1 |
+2 |
| 沿海地方 |
+7 |
+1 |
+2 |
| サハリン州(北クリル地区以外) |
+8 |
+2 |
+3 |
| サハリン州(北クリル地区) |
+9 |
+3 |
+4 |
| カムチャツカ地方 |
+9 |
+3 |
+4 |
| マガダン州 |
+8 |
+2 |
+3 |
| チュコト自治管区 |
+9 |
+3 |
+4 |
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タイムゾーンの変更について |
2010年3月28日午前2時(現地時間)を期して,夏時間午前3時とするのに合わせ従来の11存在した時間帯のうちモスクワとの時差+9時間のカムチャツカ時間は+8時間のマガダン時間に,時差+1時間のサマーラ時間はモスクワ時間に統合され,ロシア全体で2つの時間帯が一旦は廃止されました。
2009年11月にメドヴェージェフ大統領の年次教書演説にて,国内時差の緩和により新たなビジネスや経済活動を促すためとして,時間帯の削減を提案していたものが,この日の夏時間への切り替えに合わせて実施されました。
なお,2010年3月28日の夏時間への切り替えに際しては,ロシア全土で例年通り1時間時計が進められる中,廃止された旧カムチャツカ時間を採用していたカムチャツカ地方,チュコト自治管区,旧サマーラ時間のサマーラ州,ウドムルト共和国の他に,時間帯の切り替えのあったケメロヴォ州(クラスノヤルスク時間よりオムスク時間へ移動)に於いては,いずれも1時間遅い時間帯への移動のために夏時間への+1時間が相殺され,結果として時計を進ませる必要が無いという珍現象となりました。
2011年3月27日の冬時間の廃止を経て,2014年10月26日の冬時間の復活と夏時間の廃止に合わせて,再びサマーラ時間とカムチャツカ時間の2つの時間帯も復活しました。
以前にも現地で実施されている時間帯はしばしば変更があり,例えばソ連時代にサハリン州では全域でマガダン時間が採用されていたものが,90年代の後半にはウラジオストク時間へ切り替わり,更に州内の千島列島のみマガダン時間に戻され,2016年3月27日には樺太もマガダン時間へ移り,現在では千島列島のうち北クリル地区ではカムチャツカ時間が採用されるという変遷がありました。
1990年代の地図資料などでは,ウリャノフスク州,キーロフ州では+1時間(サマーラ時間),アルタイ地方,アルタイ共和国,トムスク州,ケメロヴォ州では+4時間(クラスノヤルスク時間)となっているものが見受けられましたが,これらは時間帯の細かな変遷があったことを伺わせます。
ロシアの時間帯の中でも,サマーラ時間(SAMT)を採用されているヴォルガ中下流域では1時間遅いモスクワ時間(MSK)との,オムスク時間(OMST)が採用されている西シベリアでは1時間早いクラスノヤルスク時間(KRAT)との移動と復帰が近年でもしばしば行われています。
ヴォルガ中下流域における時間帯の変更
| 地域 |
時間帯の変更 |
変更時期 |
| サマーラ州,ウドムルト共和国 |
+1時間(SAMT) → +0時間(MSK) |
2010年3月28日 |
| サマーラ州,ウドムルト共和国 |
+0時間(MSK) → +1時間(SAMT) |
2014年10月26日 |
| ウリャノフスク州,アストラハン州 |
2016年3月27日 |
| サラトフ州 |
2016年12月4日 |
| ヴォルゴグラード州 |
2018年10月28日 |
西シベリアにおける時間帯の変更
| 地域 |
時間帯の変更 |
変更時期 |
| ノヴォシビルスク州 |
+4時間(KRAT) → +3時間(OMST) |
1993年5月23日 |
| アルタイ地方,アルタイ共和国 |
1995年5月28日 |
| トムスク州 |
2002年5月1日 |
| ケメロヴォ州 |
2010年3月28日 |
| ケメロヴォ州 |
+3時間(OMST) → +4時間(KRAT) |
2014年10月26日 |
| アルタイ地方,アルタイ共和国 |
2016年3月27日 |
| トムスク州 |
2016年5月29日 |
| ノヴォシビルスク州 |
2016年7月24日 |
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2014年10月25日までのタイムゾーン図 |
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2010年3月28日までのタイムゾーン図 |
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1999年頃のタイムゾーン図
出典:ロシア・ミニ地図帳 Малый атлас России ヤニャ・セタ出版(1999 リガ)、ロスメン出版(1999 モスクワ) |
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経度15度単位にロシアの行政区画に沿ったタイムゾーン図 (実際のタイムゾーンとは異なります) |
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| モスクワとの時差 |
基準経度 |
理論上の適用範囲 |
代表的な都市 |
| -1時間 |
東経15度 |
東経7度30分〜東経22度30分 |
カリーニングラード |
| 時差なし |
東経30度 |
東経22度30分〜東経37度30分 |
モスクワ |
| +1時間 |
東経45度 |
東経37度30分〜東経52度30分 |
サマーラ |
| +2時間 |
東経60度 |
東経52度30分〜東経67度30分 |
エカテリンブルク |
| +3時間 |
東経75度 |
東経67度30分〜東経82度30分 |
オムスク |
| +4時間 |
東経90度 |
東経82度30分〜東経97度30分 |
クラスノヤルスク |
| +5時間 |
東経105度 |
東経97度30分〜東経112度30分 |
イルクーツク |
| +6時間 |
東経120度 |
東経112度30分〜東経127度30分 |
モゴチャ |
| +7時間 |
東経135度 |
東経127度30分〜東経142度30分 |
ハバロフスク |
| +8時間 |
東経150度 |
東経142度30分〜東経157度30分 |
マガダン |
| +9時間 |
東経165度 |
東経157度30分〜東経172度30分 |
ペトロパヴロフスク=カムチャツキー |
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