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ユダヤ自治州(地理概況と人口データ)

地理概況
位置 隣接する連邦構成体
極東連邦管区
名称 ユダヤ(エヴレイ)自治州  Еврейская автономная область [エヴレーイスカヤ アフタノームナヤ オーブラスチ]
創設 1934年5月7日
中心都市 ビロビジャン市
総面積 36,266平方キロ
総人口 2010年10月14日(国勢調査) 176.558人 2012年1月1日 174,412人
都市人口 2010年10月14日(国勢調査) 119,381人 2012年1月1日 118,719人
地理状況 極東ロシア中央部、アムール河中流左岸に位置。州の東端はハバロフスク市に対峙。
アムール河に沿って中アムール低地の平野が広がる。州の北西部は小ヒンガン山脈、スタルスキー山脈、ポンペーブスキー山脈、シュキ=ポクトイ山脈があり、ブレインスキー山脈の支脈(最高点1207m)がある。自治州の全域がアムール河左岸(北岸)にあたり、支流のビジャン川、ビラ川、 トゥングスカ川が州内を流れる。
気候 モンスーン気候。冬期は寒冷で乾燥、少雪。夏季は蒸し暑い。
1月の平均気温は南部で−21度、山岳部では−26度。 7月の平均気温は+18度から+21度。
年間降水量は平野部で500mm、山岳部で800mm。
資源 鉄、マンガン鉱石、錫鉱石、黒鉛、建築材料。
主要産業 建築資材、木材加工があり、農業は春小麦、大豆。
交通 州をシベリア鉄道が縦貫。アムール河は冬期以外は航行可能。
行政区画 2002年10月現在
1自治州直轄市、5地区
2010年10月現在
1自治州直轄市、5地区
市町村数 2002年10月現在
14都市(2市、12町)、47行政村
2010年10月現在
13都市(2市、11町)


ユダヤ自治州の都市、地区一覧

人口は2002年10月9日,2010年10月14日国勢調査結果による
市・町名 人口 ロシア語表記 [地名発音]
2002年 2010年
自治州直轄市
ビロビジャン市 77,250 75,413 Биробиджан [ビラビジャーン]
地区、およびそれに属する都市 (  РЦ  は地区の中心、但し赤文字の市は地区そのものには含まない)
スミドヴィチ地区
РЦ  スミドヴィチ町
28,193 28,165 Смидовичский район [スミドーヴィチスキー ラヨン]
 スミドヴィチ町 5,905 5,120 Смидович [スミドーヴィチ]
 テーリマン記念 ’04年村へ改組 1,110 ? Им Тельмана [イーミニ テーリマナ]
 プリアムールスキー町 3,675 4,047 Приамурский [プリアムールスキー]
 ニコラエフカ町 7,650 7,912 Николаевка [ニカラーイフカ]
 第2ヴォロチャエフカ町 2,035 1,937 Волочаевка 2-я [ヴァラチャーイフカ フタラーヤ]
ビロビジャン地区
РЦ  ビロビジャン市
13,018 11,907 Биробиджанский район [ビラビジャーンスキー ラヨン]
オブルチェ地区
РЦ  オブルチェ市
36,515 29,035 Облученский район [アブルーチェンスキー ラヨン]
 オブルチェ市 11,069 9,379 Облучье [アブルーチェ]
 ビラ町 4,311 3,167 Бира [ビラー]
 ロンドコ町 1,340 1,067 Лондоко [ランダコー]
 テプロオジョルスク町 5,124 4,311 Теплоозёрск [チプラアジョールスク]?
 ビラカン町 2,543 2,151 Биракан [ビラカーン]
 クリドゥール町 1,957 1,609 Кульдур [クリドゥール]
 イズヴェストコヴイ町 2,229 1,809 Известковый [イズヴィストコーヴイ]
 ヒンガンスク町 2,161 1,459 Хинганск [ヒンガーンスク]
レーニンスコエ地区
РЦ  レーニンスコエ村
22,844 20,684 Ленинский район [リェニンスキー ラヨン]
十月地区
РЦ  アムルゼート村
13,095 11,354 Октябрьский район [アクチャーブリスキー ラヨン]
「テプロオジョルスク」の現地発音については、手許の「ロシア語アクセント辞典」に記載が無く、推測。[チョープラアゼルスク]の可能性も?


1989年以降の行政組織変更

変更事項 所属 変更のあった都市または旧都市など 地区
1989年1月12日の地区・都市数 5 2 12
2002年10月9日の地区・都市数 5 2 12
2004 都市から村へ改組 スミドヴィチ地区 テーリマン記念 - - -1
2010年10月14日の地区・都市数 5 2 11


都市人口ランキング
1989年1月12日 人口
1 ビロビジャン市 82,752
2 オブルチェ市 11,934
3 ニコラエフカ町 8,290
4 スミドヴィチ町 6,584
5 テプロオジョルスク町 5,790
6 ビラ町 4,155
7 プリアムールスキー町 3,762
8 ヒンガンスク町 3,182
9 ビラカン町 3,112
10 クリドゥール町 3,054
11 イズヴェストコヴイ町 2,735
12 第2ヴォロチャエフカ町 2,104
13 ロンドコ町 1,929
14 テーリマン記念町 1,095
都市人口合計 14都市 =2市12町) 140,478
2002年10月9日 人口
1 ビロビジャン市 77,250
2 オブルチェ市 11,069
3 ニコラエフカ町 7,650
4 スミドヴィチ町 5,905
5 テプロオジョルスク町 5,124
6 ビラ町 4,311
7 プリアムールスキー町 3,675
8 ビラカン町 2,543
9 イズヴェストコヴイ町 2,229
10 ヒンガンスク町 2,161
11 第2ヴォロチャエフカ町 2,035
12 クリドゥール町 1,957
13 ロンドコ町 1,340
14 テーリマン記念町 1,110
都市人口合計 14都市 =2市12町) 128,359

2008年1月1日 人口
1 ビロビジャン市 75,099
2 オブルチェ市 10,689
3 ニコラエフカ町 7,771
4 スミドヴィチ町 5,280
5 テプロオジョルスク町 4,970
6 プリアムールスキー町 3,901
7 ビラ町 3,567
8 ビラカン町 2,515
9 イズヴェストコヴイ町 1,972
10 ヒンガンスク町 1,924
11 第2ヴォロチャエフカ町 1,911
12 クリドゥール町 1,874
13 ロンドコ町 1,259
都市人口合計 13都市 =2市11町) 122,732

2010年10月14日 人口
1 ビロビジャン市 75,413
2 オブルチェ市 9,379
3 ニコラエフカ町 7,912
4 スミドヴィチ町 5,120
5 テプロオジョルスク町 4,311
6 プリアムールスキー町 4,047
7 ビラ町 3,167
8 ビラカン町 2,151
9 第2ヴォロチャエフカ町 1,937
10 イズヴェストコヴイ町 1,809
11 クリドゥール町 1,609
12 ヒンガンスク町 1,459
13 ロンドコ町 1,067
都市人口合計 13都市 =2市11町) 119,381


ユダヤ自治州は1928年、ソ連邦中央執行委員会がアムール河沿岸の未開地にユダヤ人入植地の確保を決定し、この年にアムール河支流のビラ川とビジャン川との間に「ビロビジャン民族地区」を設けたことに始まるもので、それ以前にはこの地域にユダヤ人が全く居住していなかったので、極めて政治的に創設された自治州と言えるでしょう。
ソ連西部や南西部の都市に多く居住するユダヤ人を、農業入植地への移民によってユダヤ人社会の構造を変え、ユダヤ人問題の解消を計る計画で、当初は黒海沿岸のクリミア半島の一部が入植地の候補に上がったものの、1927年までに計画は頓挫し、代わってソ満国境のビロビジャンが入植地に急浮上した直接の契機は満洲からの脅威に備える国防的配慮ともいわれています。
しかし、15万人のユダヤ人の入植計画は実際には実現せず、ユダヤ人人口は1948年の3万人をピークに減少に転じ、1989年の国勢調査ではソ連内、ロシア連邦共和国居住のユダヤ人総数536,848人のうち自治州には僅か8,887人(1.66%)しか居住せず、自治州内でも

1989年国調結果 自治州全体 ビロビジャン市
全人口 214,085 100.00 82,752 100.00
ユダヤ人 8,887 4.15 8,038 9.71
ロシア人 178,087 83.19 66,036 79.80
ウクライナ人 15,921 7.44 4,759 5.75

と、なっており、明らかに少数派です。
また、ソ連解体後は自治州のユダヤ人がイスラエルに移住する潮流もありましたが、イスラエルでの生活に馴染まず、自治州に帰還した人々も少なくないようです。


ソ連時代には、自治州そのものが隣のハバロフスク地方に含まれていましたが、現在のロシア連邦では完全に独立した連邦構成体となっています

関連ページ: 行政区画別人口 ユダヤ自治州


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